鉄筋の加工では、曲げ角度だけでなく、鉄筋の種類・径、折曲げ内法直径、フックの余長をセットで確認します。特にフープやスターラップは、末端の形状と位置を含めて、加工帳と施工図を照合しましょう。
ここでは建築構造物に用いる異形鉄筋・丸鋼の末端処理を整理します。設計図書に特に指示がある場合はその指示に従い、疑義がある場合は工事監理者・設計者と協議して施工します。
1.フックを付ける末端部を確認する
| 対象 | 確認する内容 |
|---|---|
| 丸鋼 | すべてフックを付ける。 |
| 異形鉄筋のフープ・スターラップ | 末端部にフックを付ける。 |
| 柱・梁の出隅部分の重ね継手 | 柱および梁(基礎梁を除く)の出隅部分の鉄筋にフックを付ける。丸柱の場合はすべての鉄筋を対象とする。 |
| 柱筋四隅の最頂部・煙突の鉄筋 | 末端部にフックを付ける。 |
| 壁・スラブの開口まわり等 | 柱・梁に囲まれた壁の開口まわりの壁筋(その他の間仕切壁を除く)、片持スラブ上端筋の先端、スラブ開口まわりの上端筋は、フックの有無・形状を設計図書で確認する。 |
2.鉄筋の種類・径に応じた折曲げ内法直径を確認する
鉄筋の折曲げは冷間加工とします。以下のdは鉄筋径、Dは折曲げ内法直径を表します。内法直径Dとフックの余長は別の寸法です。
| 折曲げ角度 | 鉄筋の種類 | 鉄筋径の区分 | 内法直径D |
|---|---|---|---|
| 180°・135°・90° | SR235・SR295 SD295・SD345 | 丸鋼16φ以下/異形鉄筋D16以下 | 3d以上 |
| 丸鋼19φ/異形鉄筋D19~D41 | 4d以上 | ||
| 180°・135°・90° | SD390 | D41以下 | 5d以上 |
| 90° | SD490 | D25以下 | 5d以上 |
| D29~D41 | 6d以上 |
SD490を90°を超えて折り曲げる場合は、事前に鉄筋曲げ試験を行い、支障がないことを確認したうえで工事監理者の承諾を得ます。
3.フックの余長を確認する
| 折曲げ角度 | 余長 |
|---|---|
| 180° | 4d以上 |
| 135° | 6d以上 |
| 90° | 8d以上 |

4.スターラップ・フープの曲げ方とフック位置を確認する
スターラップ(あばら筋)とフープ(帯筋)は、両端135°曲げを原則とします。
| 対象 | フックの位置 |
|---|---|
| L型梁(片側のみスラブが取り付く)のスターラップ | スラブ側に配置する。 |
| その他のスターラップ | 交互に配置する。 |
| 独立柱のフープ | 対角・交互に配置する。 |
| 壁付き柱のフープ | 壁側のみとしてもよい。 |
5.135°フック以外の方法を採用する場合
スパイラル鉄筋
| 対象 | 確認する内容 |
|---|---|
| 末端部 | 135°フックとし、余長6d以上。1.5巻以上の添巻を設ける。 |
| 重ね継手 | 重ね長さは50d以上、かつ300 mm以上。 |
| 継手部のフック | 135°フックの場合は余長6d以上、90°フックの場合は余長12d以上。 |
機械式接合・溶接閉鎖形・フレア溶接
フックを設けない閉鎖形として、機械式接合、溶接閉鎖形せん断補強筋、またはD16以下のフレア溶接を採用する方法があります。製品・接合方法ごとの条件を確認して採用します。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 溶接技能者 | 溶接姿勢に応じたJIS Z 3801の有資格者とする。 |
| 溶接棒 | SR235・SD295・SD345は、E4319およびE4916のうち適した溶接棒を使用する。 |
| 溶接作業管理 | 日本建築学会「鉄骨工事技術指針・工事現場施工編(2018年版)」6章「現場溶接」による。 |
| 施工前の承諾 | 施工要領書を作成し、工事監理者・設計者の承諾を得て施工する。 |
6.円形柱のフープ末端は、設計図書と照合する
円形柱のフープ末端形状が設計図書に明記されていない場合は、次の方法から提案し、工事監理者・設計者の指示を受けます。
| 方法 | 提供図での確認事項 |
|---|---|
| スパイラル | 末端部は1.5巻以上の添巻と135°フック。中間継手部は50d以上かつ300 mm以上の重ねとし、135°フックの余長6d以上、または90°フックの余長12d以上。 |
| 溶接閉鎖形せん断補強筋 | 溶接閉鎖形の円形フープを用いる方法。 |
| フレア溶接 | 円形フープの接合部に10dの寸法を示している。前節の溶接要領と併せて確認する。 |
記録に残すこと
鉄筋の種類と径、曲げ角度、内法直径、余長、フック位置、採用する接合方法を加工帳・施工図と対応付けます。例外形状や接合方法を採用する場合は、試験結果、製品仕様、施工要領書、工事監理者・設計者の承諾内容を残します。
本記事は実務学習のための一般的な確認の視点です。個別案件の適否・寸法・検査条件は、適用する設計図書・法令・規準と、担当設計者・工事監理者の確認に基づいて判断してください。