鉄骨建て方では、製品の精度だけでなく、搬入・揚重・作業地盤・仮設設備・接合作業までを一つの施工計画として確認します。安全に作業でき、必要な建方精度を確保できる計画を、着手前に整えます。
S造・SRC造の一般的な建方作業と仮設工事を対象とします。特殊な架構・工法は個別の施工計画によります。
1.現地条件と工作図から建方計画を組み立てる
施工計画書を作成して工事監理者の承諾を得ます。輸送・鉄骨・建方等の各業者と現地条件を確認し、揚重機と建方順序を決めます。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 搬入条件 | 鉄骨・重機が支障なく進入・搬入できる経路と作業スペースを確認する。 |
| 建物の最高部 | 最高高さと敷地内の位置関係を確認する。 |
| 最長・最重量部材 | 寸法、重量、取付位置と揚重条件を照合する。 |
| 継手・仕口 | 接合方法、現場組立ての詳細、必要な作業空間を確認する。 |
| 建方精度 | コンクリート・仕上工事に求められる部材位置と精度を確認する。 |
| 仮設の先行取付け | 工場で取り付けるピース、足場受け、親綱用部材等を工作図と照合する。 |
| 製品精度 | 現場施工要領書と製品検査結果を確認し、累積誤差を建方計画に反映する。 |
| 確認項目 | 確認すること |
|---|---|
| 揚重機の選定 | 部材重量・位置、搬入条件、建方順序、施工効率を合わせて選定する。 |
| 作業地盤 | 揚重機の荷重に対応した地盤であることを確認する。 |
| 補強の要否 | 地盤改良や躯体補強が必要となる場合があるため、早期に検討する。 |
| 関係者との協議 | 建方業者、輸送業者、鉄骨製作業者、揚重機担当者の意見を施工計画へ反映する。 |
2.接合・取込み・通路の仮設設備を計画する
| 設備 | 管理する内容 |
|---|---|
| 高力ボルト締付け用足場 | 吊り足場等を計画する。柱接合用の足場は別途検討する。 |
| 溶接用足場 | 作業姿勢と検査空間を確保し、防風設備と火花の飛散防止を考慮する。 |
| 取込みステージ | 許容積載荷重を表示し、周囲に手すり・幅木を設ける。 |
| 小物運搬用通路桟橋 | 幅は1.2 m程度を目安とし、両側に手すり・幅木を設ける。 |
| 梁上のステージ・通路 | スペーサーで梁上から浮かし、配筋・コンクリート打込みを妨げない納まりとする。 |
| 溶接設備・電源 | 工程と溶接量から必要台数・電気容量・設置位置・幹線ルートを決める。 |
| 周辺機器への影響 | 近隣の情報機器・医療機器等に溶接時の磁場が影響する場合があるため、関係者と対策を検討する。 |
3.第三者災害・飛来落下・墜落を防ぐ
| 対象 | 計画する対策 |
|---|---|
| 道路・隣家に接する面 | 建方に先行して、ボルト等の飛散を防ぐ防護設備を設ける。 |
| 層建て・完成した軸組外周 | 建方の進行に合わせて垂直養生ネットを張り下げる。 |
| 外部足場を使用する場合 | 建方と並行して足場を組み、朝顔養生を設ける。 |
| 外部足場が不要な工法 | 朝顔などの防護棚を別途計画する。 |
| 外部足場の枠網 | 風の影響を考慮し、足場つなぎと接続先の仮ボルト配置を確認する。 |
| 現場内の落下防止 | 原則として各層に水平養生網を張り、柱まわりのすき間をふさぐ。 |
| 高所作業 | 親綱、適切な墜落制止用器具、安全ネットを計画し、建方途中でも使用できる状態を確保する。 |
4.建方前の測定基準とアンカーボルトを確認する
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| スチールテープ | 現場墨出しには、現寸検査で用いたJIS B 7512の1級品を使用し、測定基準をそろえる。 |
| アンカーボルトの形状 | 径、長さ、両ねじ・定着板付き等の形状を設計図書と照合する。 |
| 材質 | SNR・SS等の指定材質を確認する。 |
| ねじ加工 | 転造・切削の指定を確認する。 |
| 固定 | 通常はベースプレートと同じ大きさの型板を用い、打込み中に移動しないよう鋼製フレーム等で堅固に固定する。 |
| 溶接による固定 | アンカーボルトや鉄筋へ溶接して固定しない。 |
記録に残すこと
承諾済み建方計画、揚重・地盤の検討資料、仮設設備図、搬入協議記録、測定基準、アンカーボルトの材質・形状・位置の確認写真を残します。
本記事は実務学習のための一般的な確認の視点です。個別案件の適否・寸法・検査条件は、適用する設計図書・法令・規準と、担当設計者・工事監理者の確認に基づいて判断してください。