1.材料の種類と認定の適用範囲を確認する
認定品は施工者と鋼材寸法まで含めて確認します。材料を替えるときも認定条件を一組で照合します。
耐火被覆の工法・材料は認定品を選定します。認定品の施工は、申請業者(団体の場合はその加盟業者)が行うものとします。耐火被覆材には巻付け材・成型板・吹付け材・コテ塗り材・塗装材等があります。代表的なものを以下に示します。使用する鉄骨サイズによって認定外仕様となるケースがあるので適用可能な鉄骨サイズを事前に確認します。現場における作業環境改善の観点から吹付けロックウール以外を選定するのが望ましいです。
| 種類 | 材料 | 例示仕様 | 大臣認定 |
|---|---|---|---|
| 巻付け材 | 耐熱ロックウールフェルト | ― | ○ |
| 成型板 | 繊維混入けい酸カルシウム耐火被覆板 第1号(仕上用) | ― | ○ |
| 成型板 | 繊維混入けい酸カルシウム耐火被覆板 第2号(隠蔽用) | ― | ○ |
| 成型板 | ALC板 | ― | ○ |
| 吹付け・こて塗り材 | 水酸化アルミニウム混入湿式吹付けモルタル | ― | ○ |
| 吹付け・こて塗り材 | 吹付けロックウール(半乾式・半湿式) | ― | ○ |
| 吹付け・こて塗り材 | 鉄網モルタル(ラスモル) | ○ | ― |
| 塗装材 | 耐火塗料 | ― | ○ |
2.防錆範囲と下地処理を確認する
被覆材と防錆材の相性を確認し、浮きさび・ほこりを取り除きます。
鉄骨に防錆処理を行う範囲は、竣工後に相対湿度が常時70%以上の環境となる部位(たとえば特別な加湿空調がある部屋、湿度の高い地域で除湿設備がない部屋など)および施工中に錆の飛散や錆を含んだ水が外装材や現場周辺を汚すおそれがある外周部などとします。
湿式吹付けロックウールに限り防錆処理を行う場合は以下とします。 JIS K 5551 構造物用さび止めペイント(変性エポキシ系)、または樹脂入りセメントスラリー吹付けとします。JIS K 5621 一般用さび止めペイントは、塗膜がセメントペーストのアルカリ成分に侵され、被覆の剥離につながるため使用しません。 ※ 樹脂入りセメントスラリー(吹付け)〔セメント:樹脂溶液(アクリルエマルションまたはSBRポリマーの4倍液)=2:1(重量比)のもの〕を1回吹き。
半乾式(半湿式)吹付けロックウールの場合の防錆については、防錆材の種類による付着力の差はほとんど無いため、使用目的に合った防錆性能を有する材料を選択します。デッキプレートの上からスタッドボルトを溶接する場合で、梁の天端を防錆するときは、樹脂入りセメントスラリー吹き付けとします。防錆塗装がない場合は、浮き錆をウエスやワイヤブラシなどで取り除きます。防錆塗装がある場合は、塗膜に付着したほこりをウエスやブロアーで取り除きます(近隣への飛散に注意する)。
3.成型板の厚さと固定を確認する
接着剤だけに頼らず、釘・かすがいでも保持できる固定にします。
接着剤はけい酸ソーダを主成分とした耐火接着剤を用います。捨張り板の厚さは25 mm以上、取付間隔は1250 mm以内とします。釘・かすがいの間隔は 250 mm 以内とします。接着剤と併用して釘・かすがいのみでも保持されるように固定します。接着剤は約8時間で硬化するが、特に硬化中は水に弱いので、雨に当たらないようにします。耐火被覆用のALC板を用います。取付け方法はケイカル板に準じます。
4.吹付け材の厚さ・保持と合成耐火を確認する
認定厚さと密度を管理し、フランジ端部や外壁との空間部で欠損を生じさせないようにします。
セメントスラリーの飛散に備え適宜シートなどで床を養生します。厚さ・密度については、各製品の大臣認定仕様に従い業者の自主管理を原則とします。吹付け施工後、厚さ確認ピンを柱1面に各1本、梁1本あたりウェブ両面に各1本、下フランジ下面に1本、下フランジ端部(コバ)両側に各1本差し込みます。フランジ端部など出隅になる部分は特に吹き厚が不足しがちなので注意を要します。
保持が期待しにくい部分(鉄骨フランジ幅が400 mm以上の場合など)はJIS A 5505 メタルラスで規定する平ラスや受け材などを使用して保持させます。
外壁との合成耐火工法を採用する場合は、各認定仕様に従った納まりとします。外壁仕様毎に認定条件が異なるので、特にPCa板、ECP等は目地を含め合成耐火の認定通りであることを確認します(成型板、巻き付けとも)。梁または柱と外壁の間の空間部下地は、9 mm 丸鋼を鉄骨に溶接のうえメタルラスを取り付けます(現場溶接を伴う場合は溶接有資格者〔JIS・WES〕による施工とします)。市販の無溶接工法を謳った下地材(アングルラス等)は認定外となり使用できません。当該の鉄骨下フランジには母材を傷めないように、予め工場にて捨板を溶接しておきます。
材料は雨の当たらない場所に保管します。エレベーターシャフト内やエアチャンバとして使う二重天井内など、空気の流れが強い部分では、粉じんが飛散し易いので、表面にセメントスラリーを吹付け、充分コテ押えを行います。吹付けロックウールの施工中に発生する粉じんに対して、作業者は防じんマスクなどの防具を着用し、施工場所には作業者以外の者が立入らないような措置をします。近隣に粉じんが飛散するおそれのあるときはシートなどで養生します。
5.鉄網モルタルの適用環境を確認する
メタルラスが腐食する環境を避け、下地力骨と調合を確認します。
下地力骨は6~9 mm丸鋼以上、ラスはJIS A 5505メタルラスに規定する亜鉛めっき品を使用します。ただし、外部および湿気の多い部位(目安として相対湿度 70%を超える部位)、雨がかりが予測される部位ではメタルラスが錆びて落下するため使用しません。モルタルの調合はセメント:砂=1:2~3(容積比)とします。
6.巻付け材の固定と梁貫通部を確認する
通常・耐風・防湿の仕様を区別し、隙間、ゆるみ、ピンと設備貫通を確認します。
耐熱ロックウールフェルトのジョイント部は隙間がないように貼ります(状況によってはジョイント部を重ね貼りとします)。また、全体にゆるみや破れ、破損等がないようにします。隙間、ゆるみ、破れ、破損がある場合は同材料の貼り増し、または貼り直しを行います。耐熱ロックウールフェルトの固定ピンのピッチは採用する工法の認定書に記載の仕様及びロックウール工業会の標準施工仕様を厳守します。固定ピンに軽く手で触れ、破断しないことを確認します。破断がある場合はピンの打ち増し、または打ち直しを行います。
立体駐車場等の半外部に施工する場合は、耐風仕様とし、固定ピンのピッチは採用する工法の認定書に記載の仕様及びロックウール工業会の標準施工仕様を厳守します。原則として、耐熱ロックウールフェルトの施工形状は直貼とします。 (通常仕様の箱貼りは風が空隙部に巻き込まれ、耐熱ロックウールフェルトが吹き飛ばされる可能性が高いため半外部には採用しません)。合成耐火構造で結露対策が必要な場合は、防湿仕様を採用します。
配管・ダクト周囲(鉄骨ウェブの小口まわり)は一般部と同じ被覆厚とします。配管・ダクトの径は鉄骨のスリーブ径から耐熱ロックウールフェルトの厚さの2倍を減じた数値以下にする必要があります。