まず押さえること

発注するコンクリートと、設計図書・施工計画で必要な条件を一対一で対応させます。

なぜ確認するのか

同じ建物でも、階や部位、打込み時期によって確認する条件は異なります。強度の数字が合っているだけでは、発注内容全体が正しいとは判断できません。施工者が用意した計画を、設計図書と対応させて読む準備をしましょう。

確認するポイント

  1. 打込み箇所と予定日を明確にし、該当する強度や材料の指定を拾う。
  2. セメントの種類、スランプ等の指定、粗骨材など、発注に必要な条件を確認する。
  3. 施工時期や温度条件を考慮した計画が、適用する仕様と整合しているか確認する。
  4. 工場、運搬経路、打込み能力、受入検査の役割分担を施工計画で確認する。
  1. 発注するコンクリートの条件を確認する

下記項目は、JASS 5(2018)および公共建築工事標準仕様書(令和4年版)に準じて施工するコンクリートを対象としています。設計基準強度が36 N/mm²を超える高強度コンクリートには適用しません。実際の発注では、当該工事の設計図書・特記仕様書と工事監理者・設計者の指示を確認してください。

発注前には、次の指定事項を打込み部位・工区ごとに整理します。

確認する区分指定・指示事項
種類・材料コンクリートの種類、セメントの種類、粗骨材の最大寸法、混和材、混和剤
強度設計基準強度、耐久設計基準強度、構造体強度補正値、調合管理強度、呼び強度
フレッシュ性状・調合空気量、スランプ、単位水量
軽量コンクリート気乾単位容積質量など

スランプ・空気量・水セメント比

スランプは、普通コンクリートでは18 cm以下とし、調合管理強度が33 N/mm²以上の場合は21 cm以下とします。軽量コンクリートは21 cm以下とします。

空気量の標準的な値

コンクリートの種類一般の場合寒冷地の場合
普通コンクリート4.5%4.5~5.5%
軽量コンクリート5%5~6%

水セメント比の最大値

コンクリートの種類計画供用期間:短期・標準・長期計画供用期間:超長期
普通コンクリート65%55%
軽量コンクリートFc≦27 N/mm²:55%/Fc>27 N/mm²:50%―

Fcは設計基準強度を表します。

単位セメント量・単位水量・塩化物量

対象・条件単位セメント量の最小値
普通コンクリート270 kg/m³以上
軽量コンクリート320 kg/m³以上

普通コンクリートの単位水量は185 kg/m³以下とします。AE減水剤の使用では185 kg/m³以下にならない場合は、高性能AE減水剤や流動化剤の採用を検討します。コンクリート中の塩化物量は、塩化物イオン量として0.30 kg/m³以下とします。

呼び強度と構造体強度補正値

品質基準強度Fqに構造体強度補正値₂₈S₉₁を加えた調合管理強度以上の呼び強度を指定します。打込みから28日までの予想平均気温θと、使用するセメントの種類を確認します。

構造体強度補正値₂₈S₉₁の標準値

セメントの種類補正値3 N/mm²となる予想平均気温θ補正値6 N/mm²となる予想平均気温θ
早強ポルトランドセメント5℃≦θ0℃≦θ<5℃
普通ポルトランドセメント8℃≦θ0℃≦θ<8℃
中庸熱ポルトランドセメント11℃≦θ0℃≦θ<11℃
低熱ポルトランドセメント14℃≦θ0℃≦θ<14℃
フライアッシュセメントB種9℃≦θ0℃≦θ<9℃
高炉セメントB種13℃≦θ0℃≦θ<13℃

暑中期間の構造体強度補正値₂₈S₉₁は6 N/mm²とします。 暑中期間は、日平均気温の平年値が25℃を超える期間を基準とします。

施工性・要求性能も併せて検討する

確認項目検討する内容
スランプ・施工性構造特記仕様書の指定スランプで施工性に問題が予想される場合は、スランプ変更または流動化コンクリートの採用を提案する
混和材料防水性、施工性、早強性、ひび割れ防止など、要求される性能に応じて検討する
ヤング係数既存資料で、使用するコンクリートのヤング係数が圧縮強度と質量から計算される値の80%以上であることを確認する。既存資料がなければ試し練りで確認する。類似の材料・調合の試験結果がある場合は、その結果を採用できる

設計仕様の変更につながる内容は、この検討段階で工事監理者・設計者の承諾を得ます。

  1. 工場と運搬計画を確認する

特定の工場を選定することが望ましく、それが難しい場合でも、次の条件を確認します。

確認項目確認する内容
工場の認証JISマーク表示認証工場であること
技術者コンクリート主任技士またはコンクリート技士が常駐していること
製造・運搬能力打込み計画に対して十分な能力があること。1工場では不足する場合は、複数工場を選定する
複数工場の使用混合使用せず、打設区分を明確にして打ち込む
品質管理状況施工に先立ち、必要に応じて工場を視察する

練混ぜ開始から荷卸し地点到着までの時間

外気温時間の条件
25℃以下90分以内
25℃を超える場合60分以内

凝結遅延形の混和剤を使用する場合は、それぞれ30分程度延長してよい扱いです。ここで示す時間は、練混ぜ開始から荷卸し地点への到着までです。打込み完了までの時間と混同せず、当該工事の適用仕様・施工計画で確認します。

  1. 配合計画書と材料の試験成績書を確認する

工場から提出された配合計画書、配合計算書、材料の試験成績書を照合します。

確認項目確認する内容
指定・指示事項発注条件を満足しているかを確認し、配合計算書もチェックする。軽量コンクリートの気乾単位容積質量は計算で確認する
強度保証の材齢呼び強度を保証する材齢が28日であること。早強コンクリート・マスコンクリートは、現場で指定した材齢となっていること
アルカリ骨材反応「無害」の骨材を使用し、そのデータが添付されていること。やむを得ず「無害でない」骨材を使用する場合は、抑制対策を工事監理者・設計者と協議して決める
使用水上水道水以外の水に含まれる塩化物イオン(Cl⁻)濃度が200 ppm以下であること
骨材標準粒度範囲および下記の骨材品質条件に適合すること
実際に使用する材料配合計画書に記載されていない材料を使用していないか、試し練り時などに適宜確認する

回収水の使用条件

計画供用期間の級上澄水スラッジ水
短期・標準使用してよい原則として使用しない
長期・超長期使用しない使用しない

砂利・砕石・砂・砕砂の品質

種類絶乾密度吸水率(%)粘土塊量(%)微粒分(%)有機不純物塩化物(NaClとして)(%)安定性(%)すりへり減量(%)
砂利2.5以上3.0以下0.25以下1.0以下――12以下―
砕石2.5以上3.0以下―3.0以下――12以下40以下
砂2.5以上3.5以下1.0以下3.0以下標準色と同じ、または淡い0.04以下10以下―
砕砂2.5以上3.0以下―9.0以下――10以下―
  1. 必要に応じて試し練り・試験圧送を行う

Ⅱ類のコンクリートを使用する場合、配合計画書の検討だけでは品質の適否を判断できない場合、または工事監理者・設計者の指示がある場合は、試し練りを行います。ワーカビリティー、スランプ、空気量、強度等を確認します。

コンクリートの種別

種別製造区分
Ⅰ類JIS Q 1001およびJIS Q 1011に基づき、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)への適合を認証されたコンクリート
Ⅱ類上記以外のJIS A 5308に適合したコンクリート

必要に応じ、ポンプ圧送の難易性やスランプ低下を確認するため、捨てコンクリートの打込みなどを利用して試験圧送を行います。

  1. 検討結果をまとめ、工事監理者・設計者の承諾を得る

発注条件、工場、配合計画書、材料、試し練り等の検討結果から、必要な品質が得られると判断できる場合は、工事監理者・設計者の承諾を得ます。承諾を受けた条件と、実際の発注内容・打込み区分が対応していることを確認しましょう。

場面で考える

確認手順を考えるための想定例

低層階と上層階で指定が異なるのに、前回の発注書をそのまま使う場面を考えます。発注書に対象階・工区を明記し、図面の該当欄と照合すれば取り違えを発見しやすくなります。

迷ったときの進め方

要求性能と発注記号の対応が不明なときは、施工者や担当設計者に説明を求めます。設計上の強度と、発注時に指定する強度がいつも同じと決めつけないことが大切です。

記録に残すこと

打込み区画、発注条件、確認した計画書の版を残します。当日変更が生じた場合は、誰が何を確認して変更したかも、受入記録とつなげます。

参考資料

国土交通省「公共建築工事標準仕様書」公開版の案内(令和7年版) ↗

確認日:2026年9月6日。確認項目を考えるための参考資料です。本記事の説明や想定例は、資料の引用ではありません。記事内に示す適用版と、リンク先の公開版は区別して確認してください。

本記事は実務学習のための一般的な確認の視点です。個別案件の適否・寸法・検査条件は、適用する設計図書・法令・規準と、担当設計者・工事監理者の確認に基づいて判断してください。

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