コンクリートの品質管理では、現場に届いたコンクリートの「受入検査」と、打ち込んだコンクリートの「構造体強度の検査」を区別することが大切です。同じ圧縮強度試験でも、試験の目的によって供試体の採取方法、養生方法、合格判定値が異なります。打込み前に、何を確認するための試験なのかを整理しておきましょう。

下記項目はJASS 5(2018)および公共建築工事標準仕様書(令和4年版)に準じる施工を対象としています。設計基準強度が36 N/mm²を超える高強度コンクリートは対象外です。実際の工事では、適用する仕様書の版、設計図書・特記仕様書、工事監理者と合意した検査計画を確認してください。

1.現場に届いたコンクリートの受入検査

表1 受入検査の項目・時期・方法

検査項目検査時期・回数試験方法
スランプ・空気量受入検査の圧縮強度試験用および構造体強度検査用の供試体採取時。打込み中に品質の変化が認められた場合にも実施スランプ:JIS A 1101/空気量:JIS A 1128
塩化物量(塩化物イオン量)資料の基本は1日1回。海砂など塩化物を含むおそれのある骨材を使用する場合は、打込み当初および150 m³に1回以上。適用仕様書による違いに注意JASS 5 T-502。評価を受けた測定器を使用
圧縮強度3回の試験で1検査ロット。1回の試験は、打込み工区ごと・打込み日ごと、かつ約150 m³以下にほぼ均等に分割した単位ごとJIS A 1108。標準養生、材齢28日

フレッシュコンクリートの検査と供試体の採取には、現場担当者が立ち会います。生コン会社・試験代行業者・第三者試験機関の役割分担も、事前に検査計画で確認します。

表2 スランプ・空気量・塩化物量の合格判定値

項目条件判定値・許容差
スランプ指定したスランプが8 cm以上18 cm以下指定値に対して±2.5 cm
指定したスランプが18 cmを超える指定値に対して±1.5 cm。ただし、呼び強度27以上で高性能AE減水剤を使用する場合は±2.0 cm
空気量普通コンクリート指定値に対して±1.5%
軽量コンクリート指定値に対して±1.5%
塩化物イオン量防錆対策がない場合0.30 kg/m³以下
防錆対策がある場合0.60 kg/m³以下

表3 受入検査の圧縮強度の判定

判定対象合格条件
1回の試験結果指定した呼び強度の85%以上
3回の試験結果の平均値指定した呼び強度以上

上の2つをともに満たすことが必要です。 例えば呼び強度30であれば、1回の試験結果は25.5 N/mm²以上、3回の平均値は30 N/mm²以上であることを確認します。

受入検査の1回の試験には、任意の1台の運搬車から同時に採取した3個の供試体を用い、その強度の平均を1回の試験結果とします。

打込み回数・数量が少なく3回未満となる場合、1回または2回の平均値、あるいは別の打込み日の同じ種類の試験結果を含めた3回の平均値による扱いとする場合があります。

2.構造体に打ち込まれたコンクリートの強度を確認する

構造体強度の検査は、1回ごとに判定します。打込み工区ごと・打込み日ごとに行い、1日の計画打込み量が150 m³を超える場合は、150 m³以下にほぼ均等に分割します。試験方法はJASS 5 T-603、採取は作業所が主体となり、圧縮強度試験は第三者試験機関で行う扱いです。

表4 構造体強度の養生方法・材齢・合格判定値

供試体の養生方法試験材齢・条件合格判定値
標準養生材齢28日調合管理強度以上(Fq+₂₈S₉₁)
現場水中養生材齢28日。材齢28日までの平均気温が20℃以上調合管理強度以上(Fq+₂₈S₉₁)
材齢28日。材齢28日までの平均気温が20℃未満品質基準強度に3 N/mm²を加えた値以上(Fq+3 N/mm²)
現場封かん養生材齢28日を超え91日以内(原則56日以内)品質基準強度に3 N/mm²を加えた値以上(Fq+3 N/mm²)。併せて、材齢28日の圧縮強度が設計基準強度の70%以上であることを確認

Fqは品質基準強度、₂₈S₉₁は構造体強度補正値を表します。

マスコンクリートは、原則として標準養生が一般的です。

採取方法は「3台から各1個」

構造体強度検査の1回の検査には、適当な間隔をおいて無作為に選んだ3台の運搬車から1個ずつ、合計3個の供試体を採ります。同じ1台から採った3個を、構造体強度検査の1回分として用いないようにします。

例えば打込み量が200 m³なら、100 m³ずつの2回に分け、それぞれ3台から各1個、全体で6台から計6個を採取します。資料では、150 m³と50 m³に分けず、ほぼ均等に分割する例が示されています。

構造体強度用の供試体を標準養生する場合は、工事監理者の承諾を受けて、その結果を受入検査の1回の試験に併用できる扱いがあります。採取前に承諾と試験計画を確認します。

3.せき板・支保工の取外しに必要な強度

取外しのための試験は、工区ごとに1日1回以上、目的とする強度が期待できる適切な材齢で実施します。供試体は、できるだけ取外し対象となる箇所に打ち込むコンクリートから、間隔をおいた3台の運搬車で各1個、合計3個を採取します。

表5 取外しを判断するための合格判定値

検査目的供試体の養生方法合格判定値
基礎・柱・壁・梁側のせき板取外し現場水中養生計画供用期間の級が短期・標準:5 N/mm²以上/長期・超長期:10 N/mm²以上
梁下・スラブ下のせき板および支保工取外し現場水中養生設計基準強度以上
標準養生調合管理強度以上(Fq+₂₈S₉₁)
支保工の早期解体現場水中養生計算で求めた必要強度以上、かつ12 N/mm²以上

特に支保工の早期解体は、12 N/mm²に達しただけでは判断できません。計算で求めた必要強度も満たすことが条件です。試験結果を工事監理者に報告し、承諾を得て取外しを進めます。

基礎・柱・壁・梁側のせき板について、資料では所定の材齢以上存置する場合はこの取外し用の試験を不要とし、所定の材齢未満で取り外す場合に実施する扱いです。所定の材齢は、当該工事の適用仕様書等で確認します。

支保工を28日間存置する場合は、構造体強度用の現場水中養生・材齢28日試験と兼用できる扱いがあります。早期解体では目標強度に届かない可能性もあるため、予備の供試体を採っておきます。試験機関については、第三者試験機関の利用を求められる場合があるため、事前に確認します。

4.試験結果以外にも確認しておきたいこと

確認項目現場での確認ポイント
全車の目視確認打込み場所で全生コンを目視し、ワーカビリティーなどの変化・異常を確認する
材齢7日の強度材料の異常を早期に発見するため、生コン工場の材齢7日強度を確認する
養生温度外気温または水温の最高・最低を毎日記録する
軽量コンクリートの単位容積質量JIS A 1116による検査を行う。資料の計算値との差の許容範囲は±3.5%
単位水量生コン工場の印字記録と、そのときの砂の表面水量の記録を取り寄せて確認する。資料では調合が変わるごとに1回が望ましいとしている
供試体の識別採取への立会いと、供試体側面の検印用付せん等で、打込み箇所・採取日・養生方法・試験目的を追跡できるようにする

5.不合格時の対応を先に決めておく

スランプ・空気量は、資料では1回限り再試験を認めています。ただし、新しく試料を採取し、スランプ・空気量の両方が合格することが必要です。不合格の場合は、その生コン車からの荷卸しを中止して返却し、直ちに工場へ連絡して処置を講じます。

塩化物量が不合格の場合は、以後、納入者に全数測定を行わせたうえで納入する扱いです。圧縮強度が不合格の場合は、速やかに工事監理者・設計者・技術担当者へ報告し、対応を協議します。追加試験や判定方法を、その場だけの判断で変更しないようにします。

今日から残しておきたい記録

打込み日・工区・数量、納入伝票、試験目的、採取した運搬車、供試体番号、養生方法と温度、試験材齢、判定に使った強度、工事監理者の確認・承諾内容を一緒に管理しましょう。数値だけでなく、「どのコンクリートを、何の目的で、どの条件で検査した結果か」が追える記録が大切です。

本記事は実務学習のための一般的な確認の視点です。個別案件の適否・寸法・検査条件は、適用する設計図書・法令・規準と、担当設計者・工事監理者の確認に基づいて判断してください。

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