まず押さえること

何を確認するための試験なのかを特定してから、結果と適用する判定条件を比較します。

なぜ確認するのか

試験報告書には大きく強度の数値が載っていますが、その数値だけで構造体の適否や支保工の取外しを判断することはできません。試料の採取日、養生条件、試験材齢、対象のロットを確認し、試験の目的に対応した読み方をします。

確認するポイント

  1. 供試体の番号を採取記録と照合し、どの打込みに対応するか確認する。
  2. 養生条件と試験材齢が、計画した試験の条件に合っているか確認する。
  3. 個々の結果と集計の扱いを、適用する判定基準で確認する。
  4. 不足・再試験・追加調査などが必要な場合の連絡と判断経路を確認する。
  1. 受入検査は、同じ種類のコンクリートをロット単位で判定する

下記項目は、JASS 5(2018)および公共建築工事標準仕様書(令和4年版)に準じて施工するコンクリートを対象としています。設計基準強度が36 N/mm²を超える高強度コンクリートには適用しません。実際の判定は、当該工事の設計図書・特記仕様書および承諾された検査計画に従って行います。

1回の試験結果は、その目的のために採取した供試体3個の平均強度で表します。供試体1個の値と、1回の試験結果を混同しないようにします。

受入検査の判定単位
確認項目確認する内容
供試体の養生方法標準養生とする。
検査の区分コンクリートの種類(調合別)ごとに行う。
圧縮強度の検査ロット同じ種類のコンクリートについて行った試験3回を、1検査ロットとする。
試験結果が3回未満の場合1回または2回を1検査ロットとするか、打込み日が異なる同じ種類の試験結果を1検査ロットに含める。
スランプ・空気量との違いスランプ・空気量は1回の試験ごとに合否を判定する。圧縮強度は上記の検査ロットで判定する。

圧縮強度の受入検査は、次の両方の条件を満たした場合に合格とします。

受入検査の圧縮強度の合格条件
判定対象合格条件
1回ごとの試験結果指定した呼び強度の85%以上
1検査ロットの試験結果の平均値指定した呼び強度以上

ロットの平均値だけを見て、個々の試験結果の低下を見過ごさないようにします。

材料の計量間違い等による強度不足を早期に発見するため、生コン工場で実施している標準養生・材齢7日の強度も確認します。

  1. 構造体コンクリートは、養生方法と材齢に応じて1回ごとに判定する

構造体コンクリートの圧縮強度は、受入検査とは異なり、1回の試験ごとに判定します。試験報告書の養生方法、試験材齢、平均気温、判定に用いる強度を照合します。

構造体コンクリートの圧縮強度の判定条件
養生方法材齢・温度条件合格条件
標準養生材齢28日調合管理強度以上
現場水中養生材齢28日までの平均気温が20℃以上。試験材齢28日調合管理強度以上
材齢28日までの平均気温が20℃未満。試験材齢28日品質基準強度に3 N/mm²を加えた値以上
現場封かん養生材齢28日を超え91日以内のn日品質基準強度に3 N/mm²を加えた値以上。併せて、材齢28日の圧縮強度が設計基準強度の70%以上であることを確認する。

品質基準強度をFq、構造体強度補正値を₂₈S₉₁とすると、調合管理強度はFq+₂₈S₉₁で表します。コンクリートは調合管理強度以上の呼び強度で発注します。通常は調合管理強度と同じ強度を呼び強度としていますが、報告書では実際に指定した値を確認します。

JASS 5(2018)について、提供資料では、材齢を延長した場合の構造体強度補正値₅₆S₉₁が示されていないため、材齢延長によって調合管理強度を定め、呼び強度を減じることはできないとしています。試験材齢を延ばすことと、発注する呼び強度を下げることは分けて考えます。

  1. 判定強度に達しない場合は、工事監理者・設計者の指示に従う

材齢28日の試験結果が判定強度に達しない場合は、工事監理者・設計者の指示に従います。

  1. 予備供試体と、その後の養生・試験体制を準備しておく
追加確認に備えておくこと
確認項目対応する内容
材齢28日以降の養生材齢28日で判定強度に達せず、コア供試体による最終確認が必要な場合は、28日以降も構造体コンクリートの養生を十分に実施する。
予備供試体打込み後の平均気温が予想平均気温より低くなる場合に備え、現場封かん養生供試体をあらかじめ用意しておく。
試験の依頼先信頼できる試験代行業者に業務を依頼する。

供試体の採取方法や受入検査との違いは、「コンクリートの品質を確認する」も参照し、当該工事の検査計画と照合してください。

場面で考える

確認手順を考えるための想定例

早い材齢の結果が届き、予定強度より低いので直ちに不合格と考える場面です。まずその試験の目的を確認します。一方、用途の違う試験結果を使って「十分強い」と判断することも避けます。

迷ったときの進め方

判定の根拠が読み取れない場合は、試験計画と適用仕様の該当箇所を確認します。疑義がある場合は担当者へ報告し、若手担当者だけで出荷品質や構造体の安全性を断定しません。

記録に残すこと

報告書の原本、判定に用いた条件、対象ロット、確認者、必要な追加対応を残します。後から届く材齢の結果も、同じ試験一覧で追跡します。

参考資料

国土交通省「公共建築工事標準仕様書」公開版の案内(令和7年版) ↗

確認日:2026年9月6日。確認項目を考えるための参考資料です。本記事の説明や想定例は、資料の引用ではありません。記事内に示す適用版と、リンク先の公開版は区別して確認してください。

本記事は実務学習のための一般的な確認の視点です。個別案件の適否・寸法・検査条件は、適用する設計図書・法令・規準と、担当設計者・工事監理者の確認に基づいて判断してください。

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