高強度コンクリートは、強度だけでなく、粘性、流動性、温度、初期の乾燥にも注意が必要です。認定条件と施工計画を照合し、発注から検査・打込み・養生までをつなげて管理します。

ここでは、設計基準強度Fcが36 N/mm²を超え60 N/mm²以下の現場打込みコンクリートを対象とします。Fcが60 N/mm²を超える場合や、高流動コンクリートの採用、CFT柱への適用は別途条件を確認します。

1.発注前に認定条件と施工性を確認する

発注・工場選定の確認
項目確認内容
使用する製品大臣認定を取得したコンクリート、またはJIS A 5308に適合する認証を受けたコンクリートのうち、設計図書・施工条件に適合するものを選ぶ。
認定書の別添設計基準強度、セメント種類、使用時期、管理強度、スランプ・スランプフローの組合せを確認する。
工場出荷実績、運搬時間、フレッシュ性状、供給能力を確認する。
試し練り工場によってフレッシュ性状が異なるため、使用する配合で打込み可能か確認する。
混和剤の後添加認定に手直し可能の記載がある場合は、工場・工事監理者と方針を決め、必要に応じて試し練りで後添加と強度への影響を確認する。
空気量認定値が4.5%より小さい場合があるため、設計図書との整合を確認する。凍害のおそれがある場合は4.5%を標準とする条件を確認する。

2.製品検査・受入検査・構造体検査を区別する

検査の役割と頻度
区分主な試験項目ロット・回数
生コン工場の製品検査フレッシュ性状、スランプ・スランプフロー、空気量、温度、圧縮強度、塩化物量。必要な場合は単位水量。打込み工区・打込み日ごと、かつ300 m³ごと。3回/ロット。塩化物量は1回/日。
現場の受入検査フレッシュ性状、スランプ・スランプフロー、空気量、温度、圧縮強度、塩化物量。必要な場合は単位水量。同上。フレッシュ性状は初めの3~5台でも確認する。
構造体コンクリートの検査スランプ・スランプフロー、空気量、温度、圧縮強度。打込み工区・打込み日ごと、かつ300 m³ごと。3回/ロット。

受入検査と構造体検査のロットを同じにして試験を兼用する場合があります。単位水量は性能評価書や特記仕様書に指定がある場合に実施します。30 m³以下のロットは工事監理者と協議して決めます。

供試体の採取方法(検査を兼用する場合)
1日の台数採取・判定方法
1台または2台工事監理者の承諾を得て全数検査。1台から3個を採取し、1台ごとに1回の試験で判定する。
3台以上1ロットを3区分し、各区分の任意の1台から3個、合計9個を採取する。各区分で1回、計3回の試験でロットを判定する。

3.フレッシュ性状と供試体の保管を確認する

以下は判定基準の例です。実際には採用する大臣認定書の別添や適用仕様を確認します。

フレッシュコンクリートの判定基準の例
項目・目標値許容差・条件
スランプ8~18 cm±2.5 cm
スランプ21~23 cm±2 cm
スランプフロー50 cm以下±7.5 cm
スランプフロー50 cm超±10 cm。ただしJIS A 5308の高強度コンクリートでスランプフロー55 cmの場合は±7.5 cm。
空気量目標値に対して±1.5%
コンクリート温度35℃以下
材料分離目視で分離していないこと。
塩化物イオン量0.30 kg/m³以下

スランプフローは最大の広がりとそれに直交する方向の2箇所を測り、その平均を0.5 cm単位に丸めます。

4.圧縮強度の判定と材料の確認を行う

圧縮強度の判定基準
検査養生・材齢判定
使用するコンクリート標準養生、調合を定める材齢m日3組の試験結果の平均値≧Fc+ₘSₙ、かつ最小値≧0.85(Fc+ₘSₙ)。
構造体コンクリート標準養生、材齢m日3組の試験結果の平均値≧Fc+ₘSₙ。

Fcは設計基準強度、ₘSₙは構造体強度補正値を表します。認定によっては最小値の係数が0.90となる場合があるため、必ず認定条件を確認します。不合格時の処置は工事監理者・設計者の指示によります。明確な指示がないままコア採取を進めず、対応を協議します。

使用材料の試験成績書は、試し練り時に過去3か月分、施工中は毎月1回確認し、認定の品質基準との適合を確認します。

5.打込み・締固め・打分けを計画する

打込み時の管理
項目確認内容
先送りモルタル打ち込むコンクリートの粗骨材抜きの配合とし、躯体に入れずフネ等で受けて廃棄する。
自由落下高さスランプフロー管理は3 m以下、スランプ管理は2 m以下を目安に、材料分離を防ぐ。
締固めスランプフロー管理でもバイブレータを使用する。過振動による分離を防ぐ。
バイブレータの範囲一般コンクリートでは棒径の約10倍が目安だが、高強度ではその半分以下になることがあるため、本数・挿入位置を調整する。
打重ね部バイブレータを先行層に挿入し、コールドジョイントを防ぐ。密な配筋部も充填を確認する。
異なる強度の打分け型枠・エアフェンス・メタルラス等で確実に区分する。高い強度を先行し、硬くなる前に低い強度を打ち重ねる。
打分け境界高い強度が必要な部分へ低い強度のコンクリートが入り込まないよう、境界と打重ね位置を決める。
打継ぎ面脆弱層やメタルラス裏の空隙を除去し、健全な面にする。

6.スラブの仕上げと乾燥防止を続けて行う

高強度コンクリートは粘性が高く、スランプ・スランプフローが大きくても移動させにくいため、普通強度のコンクリートより打込み速度を遅くする計画とします。ブリーディングが少なく、表面からの蒸発でプラスチック収縮ひび割れが発生しやすいため、乾燥防止を早期に行います。

表面の乾燥防止と仕上げの例
時期作業
荒均し終了後適用する養生剤の1回目の散布を行う。
最終仕上げ前製品仕様に従って2回目の散布を行う。
最終押え終了後直ちに散水し、表面の湿潤を保つ。

養生剤は対象のコンクリート・仕上げとの適合を確認し、製品仕様に従って使用します。

7.脱型は強度と温度差の両方で判断する

せき板・支保工の取外し用強度確認
目的供試体の養生合格判定値
基礎・柱・壁・梁側のせき板現場封かん養生10 N/mm²
梁下・スラブ下のせき板と支保工標準養生調合管理強度(Fq+ₘSₙ)
支保工の早期解体標準養生試験結果-ₘSₙ≧計算で求めた必要強度、かつ12 N/mm²以上

検査は工区ごとに1日1回以上とし、対象部分に打ち込むコンクリートの最後の受入検査に合わせて3個採取します。試験方法はJASS 5 T-603とし、必要強度を期待できる時期に試験します。予備供試体を用意し、結果を工事監理者へ報告して承諾を得ます。試験機関の指定も事前に確認します。

8.湿潤養生を所定期間継続する

湿潤養生期間
セメント36<Fc≦4040<Fc≦5050<Fc≦60
普通ポルトランド5日以上4日以上3日以上
中庸熱ポルトランド6日以上4日以上3日以上
低熱ポルトランド7日以上5日以上4日以上

Fcの単位はN/mm²です。上記期間前にせき板を外した場合も、散水・養生マット・シート等で所定期間まで湿潤を保ちます。

コンクリート部分の厚さが18 cm以上で、普通・中庸熱ポルトランドセメントを用いる場合は、現場封かん養生供試体で15 N/mm²以上を確認して湿潤養生を終了する条件があります。対象部材・採用仕様と照合して判断します。

記録に残すこと

認定書と別添、試し練り結果、材料成績書、受入ロット・採取台車、供試体の保管温度、強度試験、打分け位置、締固め、脱型判断、養生開始・終了時刻を残します。

本記事は実務学習のための一般的な確認の視点です。個別案件の適否・寸法・検査条件は、適用する設計図書・法令・規準と、担当設計者・工事監理者の確認に基づいて判断してください。

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