1.層間変位と固定・可動の区分を確認する
まず、建物の層間変位にPC板とサッシがどのように追従するかを確認します。ファスナーの固定部と可動部を明確にし、目地やすべり面の納まりを合わせて計画します。
| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
|---|---|
| 目地幅 | 層間変位の大きさに応じ、シーリング材の許容範囲内で納まる幅を決めます。 |
| ファスナーの役割 | ロッキング方式・スウェイ方式では、各ファスナーが固定か可動かを明確にします。 |
| スパンドレルタイプ | 層間変位が連窓サッシに集約されるため、ガラスのエッジクリアランスとサッシ枠の追従性能を確認します。 |
| 可動部のすべり面 | ステンレス板や樹脂加工板(テフロン加工板等)を入れます。 |
| L型平断面のコーナーPC板 | 原則として2辺がほぼ等しい場合はロッキング方式とし、一方の折返しが短い場合は、短い方をはね出し形式とします。 |
2.二次シールと排水経路を確認する
目地の止水だけでなく、浸入した水を外部へ排出する経路を確認します。ジョイント形式に応じたシールと排水の納まりを整理しておきます。
| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
|---|---|
| フィルドジョイント | PC板上端に立上り部を設けます。浸入水を縦目地の排水溝へ誘導し、最下層の目地部に水抜きパイプを設けて外部へ排水します。 |
| オープンジョイント | レインバリアのEPDMゴムにはクロロプレーン系接着剤、ウインドバリアのシリコーンゴムにはシリコーン系接着剤を用います。 |
| スパンドレル・目地の内部 | 各階に水抜きパイプまたは排水口を設け、外部へ排水できる機構とします。 |
| ガスケットの十字交差部 | 隙間が開く部分にはシーリング材を充填します。 |
3.ファスナーの接合と調整しろを確認する
接合方法、製作・施工誤差を吸収する調整しろ、可動部の締付け条件を分けて確認します。調整しろと可動しろは別に扱います。
| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
|---|---|
| 接合方法 | 可動部を除き、普通ボルト接合と溶接の併用、またはハイテンションボルト接合とします。普通ボルトと溶接を併用する場合も、溶接のみで負担できる計算とします。 |
| 水平方向の調整しろ | アンカーボルトに対して20 mm以上。可動しろを除き、製作・施工誤差を吸収できる値を確保します。 |
| 鉛直方向の調整しろ | アンカーボルトに対して15 mm以上。可動しろを除きます。 |
| スライド機構のボルト | 製造メーカーが指定するトルク値で締め付けます。 |
4.支持方法と仕上げを確認する
PC板を支える仕組みと、表面仕上げ・打込み部材の条件を確認します。製作から取付けまでの各段階で、PC板に生じる力を検討します。
| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
|---|---|
| 鉛直方向の支持 | 自重と地震による鉛直方向の力に対しては、原則PC側に荷重受けを設け、躯体に載せる構造とします。 |
| 曲げひび割れ | 脱型・吊上げ・建起し・風荷重に対する検討では、曲げひび割れ強度を超えないよう注意します。 |
| 外部に露出する面 | コンクリート打放しのままとせず、撥水材塗布や塗装仕上げとします。 |
| ゴンドラレール等の打込み | 長さ方向の拘束を大きくしないようにします。 |
5.コンクリートの調合と養生・脱型を確認する
調合条件、蒸気養生の温度管理、脱型時の強度・温度差を確認します。サッシや仕上げ材を打ち込む場合は、温度変化による影響も検討します。
| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
|---|---|
| 設計基準強度 | 原則30 N/mm² |
| 単位水量 | 180 kg/m³以下 |
| スランプ | 特記によります。特記がなければ12 cm以下。 |
| 蒸気養生の昇温・降温 | 20℃/hを超えないようにします。15℃/h以下が望ましいです。 |
| 蒸気養生の持続最高温度 | 60℃以下 |
| 脱型時のコンクリート強度 | 12 N/mm²以上 |
| 脱型時の温度差 | 原則、蒸気養生構内の温度と外気温の差が20℃以下で脱型します。 |
サッシを打ち込む場合は、蒸気養生時と竣工後のサッシの伸縮によるひび割れを防ぐため、クッション材を打ち込むなどの処置を行います。タイル・石は、蒸気養生で変色しないものを選びます。
脱型時はコンクリート強度が低いため、吊上げ点の位置を十分に検討し、必要に応じて治具を使います。
6.現場の取付精度と作業条件を確認する
取付け時は、目地の幅・通り・段差を確認します。仕上がりの精度と併せて、強風時の作業条件も共有しておきます。
| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
|---|---|
| 目地幅の許容差 | ±5 mm |
| 目地芯の通りの許容差 | 3 mm以内 |
| 目地両側の段差の許容差 | 4 mm以内 |
| 強風時の取付け | 風速10 m/s以上では取付け作業を行いません。 |
7.防錆・耐火・防水の納まりを確認する
最後に、ファスナーの防錆と耐火被覆、層間ふさぎ、パラペットの防水下地を確認します。接合部だけでなく、周囲の仕上げまで連続した納まりにします。
| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
|---|---|
| ファスナーの材料・めっき | 鋼製とし、原則亜鉛めっきとします。屋内は電気亜鉛めっき、屋外は溶融亜鉛めっきとします。 |
| ファスナーの耐火被覆 | 原則設けます。認定仕様によって不要となる場合は、その条件を確認します。 |
| 溶接部の防錆 | 防錆塗料を塗ります。 |
| パネルと床の層間ふさぎ | 耐火上有効なふさぎとします。厚さ1.6 mm以上の通しの鋼板の上に、厚さ50 mm以上のモルタル(コンクリート)、またはロックウールを充填します。 |
| パラペットの箱抜き部 | ファスナーを設ける穴の埋め方を検討し、防水下地を作ってから防水します。仕様は防水業者・メーカーに確認します。 |