FINISHES / STONE WORK
石張りの材料選定と不具合防止のポイント
天然石の色むら・白華・さび・ひび割れを防ぐため、石種の選定から取付け、目地、養生までを確認します。
1.石種と使用環境を合わせて選ぶ
石は種類ごとに、水分や温度変化、薬品に対する性質が異なります。見た目だけでなく、使用実績と環境への適性を確認します。
石種と使用環境を合わせて選ぶの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 外部・水掛かり部の石種 | 石は、ひび割れ、酸性雨、はじけ、凍結融解その他により、表面から劣化していくので、外装材として長期間その状態を維持するためには、耐候性・耐久性のある石を使用する必要があります。そのため、外部には花崗岩を使用します。大理石、石灰岩、砂岩等の耐久性の低い石材は、外部又は内部で水がかりの場所には使用しません。 |
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| 実績の少ない石 | 実績の少ない石は試験をして耐久性や変色などの不具合が出ないことを確認しておきます。 |
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| 温泉の成分 | 温泉場で石(下地金物を含めて)を使う場合は、温泉の成分を確認して、侵食されない材料を採用します。 |
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| 不具合の可能性がある石 | 以下に示すような不具合の出る可能性のある石を採用する場合は、予め工事監理者の了解を得ておきます。 |
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石種ごとの不具合と注意点| 石種 | 注意点 |
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| 大理石・石灰岩・蛇紋岩 | 風雨の当たる外部では耐候性が劣り、光沢と華麗さを早く失います。蛇紋岩は色彩が白くぼけ、反りが生じることもあります。ビアンコカラーラ(Bianco Carrara)等の鉄分を含む石を湿式で張ると、水分の影響でさび色の斑紋が生じることがあります。ネグロマルキーナは湿気に対して不安定で、室内でも割れや弾けが生じる場合があります。ネロカルニコは表層が剥がれる場合があります。 |
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| 花崗岩(御影石) | 色むら、斑紋、捕獲岩(斑点状のむら)、強い石目などに注意します。北木石(岡山県)・藤岡石(愛知県)・挙母石(愛知県)等は、水分でさび色の斑紋を生じることがあります。シェニートモンチーク(Sienito Monchique)は外壁や湿気の多い場所でアルカリ・酸の影響によるポップアウトが生じやすく、吸水率が大きく割れやすい石です。カナディアンブラックには割れの例があります。吸水率が0.3%程度以上の石は、外部では汚れが付きやすくなります。 |
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| 砂岩 | 外部では風化が比較的早く、汚れや藻が付きやすい石です。インド砂岩の赤系統は特に風化が早く、白系統には水分でさび色の斑紋が生じる場合があります。割り肌面は運搬中にこすれると白くなりやすく、補修がききません。 |
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2.色むら・白華・しみへの対策を決める
色調の許容範囲を見本で共有し、石に入る水分や汚れに応じた表面・裏面処理を検討します。
色むら・白華・しみへの対策を決めるの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 限度見本と配置 | 色むら・捕獲岩など美観上影響がある性質を持つ石の場合は、限度見本を提出して監理者の了解を得ておくと共に、重要な部分は工場における石の検査時に監理者立会いのもとで石の配置を決めます。 |
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| PCa板への打込み | PCa板に打ち込む石は、白華・濡れ色・さび色のしみなどを防止する目的で、汚染性のない花崗岩打込みPCa板用裏面処理材の一成分型を用いて裏面処理をします。また、面台などの汚れやすい部分の石は、表面処理の採用を検討します。 |
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| 腰壁・巾木の表面処理 | 腰壁や巾木などの裏込めモルタルを充塡する部分は、白華・濡れ色・さび色のしみなどを防止する目的で仕上面と小口面に浸透タイプの表面処理をします。表面処理は、担当設計者・工事監理者等に相談して行います。 |
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| 油汚れへの対策 | エンジンオイルや焼き肉の油などの対策が特に必要な場合は、事前に石工事業者と協議し、試験にて効果の得られる表面処理剤を選定します。 |
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| 裏込めモルタルの砂 | 裏込めモルタルに使用する砂は、塩分・鉄分・粘土分を含まない硅砂が望ましいです。 |
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| 砂岩の吸水調整 | 砂岩は裏込めモルタル詰めに際し、前もって吸水調整のため水湿しをしておきます。 |
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3.接続金物と仮止め材料を確認する
接着剤だけに石の保持を任せず、機械的な固定と材料の適合性を確認します。
接続金物と仮止め材料を確認するの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 接着加工した石の固定 | 石を接着加工する場合、接着剤にたよらず金物で機械的にとめます。 |
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| 金物の材質 | 引き金物等の金物類はステンレス(SUS304)製とします。石材工場での役物石の接続に用いるかすがい等の金物もステンレス(SUS304)製とする(石工事業者に確認する)。 |
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| 仮止めの材料 | 石の仮止めには、超速硬型セメント(ジェットセメント等)を使用し、石膏のたぐいは使用しません。 |
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| だぼ穴の充填 | だぼ穴の充塡には汚染性のないエポキシ樹脂(クイックメンダー:コニシ製等)を用います。 |
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| 衝撃への対策と石厚 | 床から高さ30cm~1m程度までは、必要に応じ、衝撃による破損防止のため裏込めモルタルを充塡します。 耐久性の低い石を使用する場合は石を厚くするなどの対策をします。 |
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| 伸縮目地の材料 | 伸縮目地の弾性シーリング材は、2成分形のポリサルファイド系又は変成シリコーン系を使用します。 |
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4.外壁は割れ・雨水・下地のさびを防ぐ
外壁では、石の割れや目地からの浸水が剥落や汚染につながります。石種と目地、下地金物の保護を組み合わせて確認します。
外壁は割れ・雨水・下地のさびを防ぐの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 石目が強い石 | 外壁には、石目が強く割れやすい石(石材業者の判断による)は使用しません。 |
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| 裏面FRP補強の検討 | シェニートモンチーク、カナディアンブラックを外部に乾式工法で施工する場合は、石の裏面をFRP補強することが望ましいです。 |
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| 眠り目地の禁止 | 眠り目地は禁止とし、必ず目地を設けます。 |
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| 役物の接着加工 | 役物を接着加工する場合も、眠り目地は避けるのが望ましいです。 |
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| 目地の止水 | 石間の目地は雨水の浸入を防止するため、弾性シーリング材(プライマーは確実に塗ること)でシールします。表面処理をしない砂岩は既調合のモルタル目地とします。 |
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| 下地鉄筋の防錆 | 雨がかり部分の湿式工法の下地鉄筋は亜鉛めっきをしたものを用い、溶接部は防錆処理(ジンクリッチペイント塗りなど)をします。 |
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| 外壁の洗浄 | 石の洗いには中性洗剤を用いる(酸の使用は避ける)。 |
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5.内壁の目地と接着張りの条件を確認する
内壁でも、割れやすい石の脱落防止と目地の計画が必要です。接着張りは、下地面と石の裏面、塗布方法を確認します。
内壁の目地と接着張りの条件を確認するの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 割れやすい石の補強 | 石目等から割れやすい石(石材業者の判断による)を使う場合は、工事監理者と協議の上、石材業者の責任において裏面をFRP加工するなどして脱落防止をします。 |
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| 水掛かり部の下地鉄筋 | 水掛り部の下地鉄筋は亜鉛めっきをしたものを用い、溶接部は防錆処理(ジンクリッチペイント塗りなど)をします。 |
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| 一般部の下地鉄筋 | 一般部分の下地鉄筋は防錆塗装をしたものを使用します。 |
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| 眠り目地と例外条件 | 眠り目地は原則禁止とし、目地を設けます。やむを得ず空積み工法で眠り目地とする場合は、糸面をとり、合端に厚さ0.2mm程度のビニルパッキングを挟み込みます。目地の隙間を隠すためのセメント等の擦込みは合端の欠けの原因になるので避けます。 |
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| 目地材の選択 | 石目地を詰める場合は、原則としてシール目地とします。ただし、薄石を全面接着剤張りする場合は、モルタル目地とすることもできます。 |
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| 伸縮目地の位置と幅 | 薄石を全面接着剤張りとする場合、及び空積み工法で眠り目地とする場合の伸縮目地は弾性シーリング材を用いて6m程度の間隔ごと、柱・梁・床・建具・天井等との取合に設け、幅は原則として10mm 以上とします。 |
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| さびが出やすい石 | さびが出易い石(ビアンコカラーラ等)をモルタルを使用する空積み工法などで施工する場合は表面処理をします。 |
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| 接着する石の裏面 | 薄石を接着張りする場合は、石裏面は切放し等の石素地面とします。石裏面にFRP、ネット貼り等を施したものは接着できないので使用しません。 |
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| 接着下地への塗布禁止 | 接着下地面には左官工事等で使用する吸水調整材や塗装用シーラーを絶対に塗らない(界面剥離する)。 |
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内壁の接着張りの施工条件| 張り方 | 施工条件 |
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| 点付け | 点付けで石を張る場合は、接着剤メーカーが指定するか所数で所定の量を盛り付け、張り代が5~10mm程度となるまで押し付けます。 |
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| ビード引き | ビード引きで石を張る場合は、接着剤の直径は 10mm程度、ビード引きの間隔は150mm程度以下とし、張り代が3~7mm程度となるまで押し付けます。 |
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| 全面接着(30 cm角未満) | 30cm角未満の石を全面接着で張る場合は、接着剤を下地全面に塗って5mmでくし目引きをし、張り代が1~2mm 程度となるまで押し付けます。 |
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6.床の滑り・排水・伸縮目地を確認する
床は歩行による荷重と、水に濡れたときの滑りやすさを考えて納まりを決めます。壁の接着張りの方法を、そのまま床へ適用しないようにします。
床の滑り・排水・伸縮目地を確認するの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 外部床の仕上げ | 石の仕上げはバーナー仕上げなど滑りにくい仕上げとします。 |
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| 外階段・外構の排水 | 外階段や外構に石を張る場合は、排水処置を考慮します。 |
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| 外部床の伸縮目地 | 壁との取合い及び4mピッチ程度に伸縮目地を設けます。 |
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| 内部の濡れやすい床 | 玄関、エントランスホールなど雨水で濡れやすい部分に石を張る場合は、滑りにくいバーナー仕上げ(花崗岩)などの粗面仕上げにします。 |
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| 床の表面処理 | 玄関、エントランスホールなど雨水で濡れやすい部分や、石の下地に湿気がある場所(水がある湧水槽上の床・外部から水の回る所など) では、石に表面処理をします。 |
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| 床の眠り目地 | 床は原則として眠り目地にはしません。 |
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| 壁と床の取合い | 壁と床石の取合いには伸縮目地を設けます。 |
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| 床の点付け張りの禁止 | 接着剤による点付け張りは石裏に隙間が生じるため、歩行等により石が割れやすくなるので採用しません。 |
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7.養生材と清掃方法を共有する
養生材や清掃剤が原因で、除去できないしみが生じる場合があります。施工中の保護と引渡し後の清掃方法を確認します。
養生材と清掃方法を共有するの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 運搬中・施工後の保護 | 運搬中及び施工後に石に傷やしみがつかないように、適切な養生をします。 |
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| 養生材の選定 | 養生テープの粘着剤や木材の成分など、石にしみ込むと除去できなくなるものがあるので、養生材はよく吟味して使用します。 |
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| 内壁石の清掃 | 石は乾拭きで清掃する(引渡し時にも伝えておく)。 |
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