FINISHES / STONE WORK
湿式石張りは適用範囲と目地・モルタルを確認する
総とろ・空積み・敷きモルタルの違いを整理し、石厚、金物、目地、表面処理と養生を確認します。
1.湿式工法を採用する範囲を確認する
湿式工法では、耐震性と支持方法を踏まえて採用範囲を確認します。外壁や高い内壁は、乾式工法を基本とします。
湿式工法を採用する範囲を確認するの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 変位と壁高さ | 湿式工法は、耐震性能や石を支持する性能が劣るため(層間変位の目安1/500以下)、外壁や高い内壁 (高さ4m超)は乾式工法とします。 |
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| 上げ裏 | 上げ裏に石を張りません。 |
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| 構造スリット | 構造スリットをまたいで石を張りません。 |
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| 外部の大理石 | 大理石は外部には原則として使用しません。 |
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2.工法ごとの荷重の流れと施工方法を確認する
総とろ工法、空積み工法、床の敷きモルタル工法では、荷重の受け方と適用箇所が異なります。
工法ごとの荷重の流れと施工方法を確認するの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 総とろ工法の構成 | 石を引き金物及びだぼでコンクリート躯体に取付け、石と躯体との間を全面にわたってモルタル(とろ)で充塡する工法とします。 |
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| 総とろ工法の荷重負担 | 圧縮力(正圧)はモルタルが、引張力(負圧)は引き金物が受け持ちます。 |
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| 打継ぎ部 | 躯体の水平打継ぎなど打継ぎをまたいで石を張ると必ず割れるので避けます。 |
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| 総とろ工法の適用範囲 | 適用範囲は内外の1階腰壁または根石部分のみとします。耐震性が低いため壁石張りには適用しません。 |
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| 総とろ工法の目地 | 眠り目地とせず、必ず目地を設けます。 |
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| 空積み工法の構成 | 石を引き金物及びだぼでコンクリート躯体に取付け、引き金物の部分のみを超速硬モルタルで固定する工法とします。 |
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| 空積み工法の荷重負担 | 圧縮力はモルタルが、引張力は引き金物が受け持ちます。 |
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| 石の自重 | 石の自重は下の石が支えます。 |
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| 空積みの高さと荷重受け | 適用範囲は高さ4m以下の内壁とし、高さ3m以内に荷重受け金物を設けます。また、荷重受け金物は石1枚につき2箇所設けます。 |
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| 敷きモルタル工法の手順 | 硬練りのモルタル(バサモル)を敷き均し、その上に石を高低と通りを正しく仮据えした後、一度取り外して張付け用セメントペーストを均一に散布し、改めて据え付ける工法とします。 |
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| 既調合の敷きモルタル | 既調合の敷きモルタルを採用する場合は、製造会社の施工要領によります。 |
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3.石厚・面積と引き金物を確認する
石材の寸法と金物の条件を、採用する工法に合わせて確認します。表の石厚は目安として扱います。
石厚・面積と引き金物を確認するの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 石材1枚の面積 | 石材1枚の面積は0.8m2以下とします。 |
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| 引き金物・吊り金物・だぼ | 引き金物・吊り金物・だぼ類は全てステンレス(SUS 304)製とし、太さは3~4mmとします。 |
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| 外壁での引き金物の試験 | 外壁に適用する場合には、必ず引き金物類の強度試験を行います。引き金物の強度試験は負圧に対する検討を目的とします。 |
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湿式工法で施工する石の最小厚さの目安(mm)| 部位 | 大理石 | 花崗岩 | 砂岩 |
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| 内部・壁 | 20 | 25 | 30 |
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| 内部・床 | 20 | 25 | ― |
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| 外部・壁 | ― | 25 | (30) |
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| 外部・床 | ― | 25 | ― |
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4.下地金物と石の接続・補強を確認する
下地の防錆とアンカー間隔を確認し、役物の接続を接着剤だけに頼らないようにします。
下地金物と石の接続・補強を確認するの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 流し鉄筋と溶接部 | 流し鉄筋は外部及び内部の浴室など水掛り部は亜鉛めっきとし、その他は防錆塗装したものを使用します。溶接箇所はジンクリッチペイントなどで必ず防錆塗装します。 |
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| アンカーピッチ | アンカーのピッチは400mm以下とします。 |
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| 荷重受け金物 | 荷重受け金物はステンレス製とします。 |
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| 石の接続とコーナー | 石の接続はだぼ、かすがい等を併用して行い、接着剤にのみ頼って石を接続しません。 役物やコーナーの石を安易に接着すると、下地の動きなどで石が割れるので、十分検討してから行います。 |
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| 外部の補強が必要な石 | 補強が必要な石は外部に使用しません。 |
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| 割れやすい内壁の石 | 内壁でも原則として割れやすい石は使用しません。やむを得ず大理石・蛇紋岩などで割れやすい石を使用する場合は、工事監理者と協議の上、石材業者の責任において裏面をFRP加工するなどして脱落防止をします。 |
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5.モルタルと目地の材料・寸法を確認する
モルタルの成分と目地の納まりは、膨張、白華、石の欠けに関係します。部位ごとの目地幅を確認します。
モルタルと目地の材料・寸法を確認するの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| モルタルの砂 | モルタルの砂は、鉄分・有機物などを多く含まない硅砂とします。 |
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| 石膏・生石灰の禁止 | 石膏又は生石灰などを混ぜると将来膨張し、石を壊すので仮止めにも使用しません。 |
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| 大理石のセメント | セメントは大理石の場合は白色セメントとします。 |
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| 外部・床の目地 | 外部及び床は必ず目地を設ける(眠り目地としない)。石を接着加工する場合も接着部分は必ず剥離すると考え白華を防止するために原則として目地を設けます。 |
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| 内壁の眠り目地 | 内壁においても眠り目地は避け、目地を設けます。やむを得ず空積み工法で眠り目地とする場合は、糸面をとり、合端に厚さ0.2mm程度のビニルパッキングを挟み込みます。目地の隙間を隠すためのセメント等の摺込みは合端の欠けの原因になるので避けます。 |
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| 目地幅と目地材 | 石の目地幅は、壁面は6mm 程度以上、外部床は4mm以上、内部床は3mm以上とし、施工誤差を見込んだ幅(+2mm程度)で計画します。床石の目地材はモルタル及び弾性シーリング材(プライマーを確実に塗る)、壁石の目地材は弾性シーリング材(プライマーを確実に塗る)とします。なお、外壁は白華を極力防止するために前記の弾性シーリング材とします。 |
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| 内壁の目地材 | 内壁において、石目地を詰める場合は、原則としてシール目地とします。ただし、薄石を全面接着剤張りする場合は、モルタル目地とすることもできます。 |
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| 伸縮目地 | 薄石を全面接着剤張りとする場合、及び空積み工法で眠り目地とする場合の伸縮目地は弾性シーリング材を用いて6m程度の間隔ごと、柱・梁・床・建具・天井等との取合に設け、幅は原則として10mm 以上とします。 |
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6.表面処理と養生・清掃を計画する
水分に起因する白華やしみを防ぐため、表面処理が必要な箇所を決めます。養生材と清掃方法も施工前に確認します。
表面処理と養生・清掃を計画するの確認項目| 確認する項目 | 条件と確認のポイント |
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| 表面処理の目的と方法 | 以下の部分は原則として白華・濡れ色・さび色のしみなどを防止する目的で仕上面と小口面に浸透型の表面処理剤を塗布します。 |
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| 外部床・腰壁・巾木 | 外部の床面、及び外壁腰壁や巾木などの裏込めモルタルを充塡する部分。 |
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| 濡れやすい入口の床 | 玄関、エントランスホールなど雨水で濡れやすい床面。 |
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| 下地に湿気がある床 | 室内床石の下地に湿気がある場所(水がある湧水槽上の床・外部から水の回る所など)。 |
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| 雨雪の養生 | 外部の取り付け工事中は、雨・雪などが掛からないようにシート等で養生します。 |
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| 仕上げ面と出隅の保護 | 仕上げ表面は必要に応じてポリエチレンシートなどで養生します。また、出隅部などは養生カバー等で養生します。 |
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| 養生テープ | 養生に使用するテープの粘着材が石にしみ込み取れなくなることが多々あるので、実績のあるものを使用します。 |
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| 洗浄剤 | 石を洗う場合は、清水または中性洗剤を用います。大理石には酸を絶対使用しません。 |
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| 本磨きの石の清掃 | 本磨きの石は乾拭きを原則とします。ワックスはしみをつくることがあるので安易に使用しません。 |
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