1.使用条件から材料と工法を決める

材料メーカーと施工業者を交え、使用条件に合う仕様と塗り見本を確認します。

塗り床仕上げ材はメーカーごとの製品の種類による差異が大きいので、材料メーカー、施工業者を十分に検討した上で選定します(エポキシ樹脂系塗り床については大きな差異はない)。原則として、材料メーカー、施工業者を交えて事前に個別検討を行い、使用条件・施工条件などにより仕様を変更した方が良いと判断された場合は、工事監理者(設計者)に改善提案を申し入れます。事前に塗り見本を作成させ、工事監理者(設計者)の承諾を得ます。

事前に床の使用条件をできるだけ正確に把握し、材料・工法が使用条件に耐えるか検討を行います。特殊な使用条件・施工条件・材料などによる場合は、事前に同一条件で確認試験を行います。

塗り床の使用条件チェック
条件確認すること
外力フォークリフト等の自重・積載荷重、タイヤ仕様、走行頻度
熱湯・蒸気温度、使用範囲、頻度
薬品類薬品名、濃度、温度、使用頻度
汚染・清掃洗剤の種類、清掃頻度、方法
その他集中荷重・衝撃、防滑、外観・精度、耐酸・アルカリ、菌への影響
塗り床仕上げ材の性質と用途
条件流しのべ:硬質ウレタン流しのべ:エポキシモルタル:エポキシモルタル:水性硬質ウレタン
厚さ(mm)2.0~3.02.05.0~7.03.0~9.0
下地の乾燥不十分××△~○△~○
ひび割れ追従性○×××
フォークリフト等の走行△~○○◎◎
集中荷重△~○○△~○◎
熱湯××△◎ ※3
耐薬品・耐油性△○○◎(酸)/○(アルカリ)
耐衝撃性○△△~○○~◎
注意点下地未乾燥によるふくれ、多湿時の発泡下地未乾燥によるふくれ、多湿時のべとつき・白化、紫外線による変色、溶剤混入による圧縮強度不足流しのべエポキシの注意点も確認多湿時の発泡
主な用途一般工場、自動車整備工場、製薬工場一般工場床、耐薬品床、クリーンルーム、厨房(熱加工室以外)耐薬品床、フォークリフト等が走行する床無人搬送車が走行する工場、食品工場(熱加工室)、熱湯が直接掛かる床

記号は、◎:優、○:良、△:問題が生じることがある、×:不可を表します。

2.下地コンクリートの強度と防湿を確認する

片面乾燥の床や下から湿気が上がる床は、工程と防湿層の計画が重要です。

コンクリートは原則として普通コンクリートとします。設計基準強度は 21 N/mm²(ポリウレタン樹脂系の場合は18 N/mm²)以上、セメント量は300 kg/m³ 以上とし、できるだけスランプ15 cm以下の硬練りコンクリートとします。土間床、地下階床、蓄熱槽の上部床など、塗り床施工後、水分または湿気が下から浸入するおそれがある床は、コンクリートスラブの下面に防湿層を設けます。

裏面にデッキプレート、打ち込み断熱材、防水層などがあって片面乾燥となる場合、乾燥が著しく遅れるので、あらかじめ十分な養生(乾燥)期間を工程に見込んでおきます(軽量コンクリートは適さない)。下地コンクリートはモノリシック仕上げとします。

3.下地面の強度・含水率と目地を確認する

脆弱層を取り除き、ひび割れ・不陸を補修してから水分と定着を確認します。

コンクリート表面の脆弱層は全面研摩して除去します。また、エポキシ樹脂系・ポリエステル樹脂系の場合は、下地面の引張試験を行い、コンクリートが母材で破壊するかまたは表面強度が1.0 N/mm²以上であることを確認します。下地表面の塵埃、油分等の汚れは除去します。下地のひびわれは、Uカットのうえ樹脂モルタルなどを充填します。不陸のあるときはくぼみ部分に塗り床メーカー推奨の下地補修材を塗り、硬化後グラインダー等で平滑にします。

下地の表面含水率は、高周波容量式水分計(kett HI-500型または520型)で測定し、コンクリート下地はコンクリートモードで5%以下であることを確認します。コンクリートの打継ぎ部には塗床材が定着するよう10 mm×10 mm程度の打継ぎ目地を設けます。また、打継ぎ目地の両脇の50 mm程度離れた位置に、打継ぎ目地と並行して塗床材グリップ用目地を同寸法で設けます。目地内部には、エポキシ樹脂系塗床および硬質ウレタン樹脂系塗床材の場合にはエポキシ樹脂系パテ材等を、水性硬質ウレタン床材の場合には塗床材と同材を充填します。

伸縮目地を設ける場合、間隔は4m内外とし、幅は水性硬質ウレタン樹脂系塗床の場合10 mm以上とし、他樹脂の場合は5 mm以上確保します。目地内部には塗床材と同材を充填します。(硬質ウレタン樹脂の場合、エポキシ樹脂系パテ材を充填します。)弾性シーリング材は原則充填させません。(挙動でシーリング材が盛り上がる)。

4.温湿度と結露を管理する

材料を施工場所になじませ、硬化養生中も通風と湿度を管理します。

施工時の温度は5℃以上32 ℃以下、湿度は80 %以下であることを確認します。5℃以下の場合は採暖し、床面に結露がないことを確認します。材料塗布後の表面結露を防ぐため、施工前日には施工場所に材料を移し同一温度条件におきます。エポキシ系の場合は、白化を防止するため、施工中塗り床面の通風に努めます(特に夜間塗床硬化養生時の湿度管理が重要です。高湿度下で仕上がると白化するため、送風機による通風を行う配慮が必要です)。

5.混合量と塗り重ね時間を守る

配合と可使時間をそろえ、現場での安易な溶剤添加を避けます。

製造後6か月を経過した材料は使用しません。プライマー、樹脂ペーストおよび樹脂モルタルの1回の混合量は、可使時間内に塗り終わる量とします。プライマー、樹脂ペーストの、主剤・硬化剤および促進剤は所定の割合で正確に計量します。樹脂モルタルは樹脂ペースト混合後、メーカーの指定する骨材を所定量混合し十分攪拌します。強度低下につながるため、原則として現地で材料に溶剤を混入しません。やむをえず混入する場合は混入量を厳重に管理します。

樹脂ペーストまたは樹脂モルタルの塗り付けは、プライマー塗布後所定の時間が経過してから行います。樹脂ペーストおよび樹脂モルタルの塗り重ね・塗り継ぎは、メーカーの指定する時間内に行います。巾木など立ち上がり部分は塗り床面が硬化した後、だれ止め材などを加えて粘度を調節した樹脂ペーストを塗ります。

6.立入り・重量物と養生期間を管理する

施工中のほこりと、硬化前の歩行・重量物による損傷を防ぎます。

施工中は立ち入りを禁じ、表面に塵埃等が付着しないように養生します。施工後、夏季で1日、冬季で3日間以内は歩行を禁止します。また重量物の運搬は夏季3日、冬季7 日間は行いません。有機溶剤が混入されている場合は、施工中換気を行います。施工時はできる限り本設の照明を点灯します(色むらの低減)。