1.材料・荷重・屋根勾配を確認する

屋根の一般部と外周・隅角部では風圧力が異なります。支持材と固定部の安全性を部位ごとに確認します。

折板に使用する材料、鋼板の厚さ、および構成部品に使用する材料は、JIS A 6514(金属製折板屋根構成材)により、環境条件に応じて必要な耐久性をもつものを選定します。折板屋根に作用する荷重(建設省告示第1458号に定める風圧力以上)に対して安全な間隔に下地材が設けられていることを設計者に確認します。

一般部、外周部、隅角部、棟部、棟端部等それぞれの部位の設計風圧力に対して、曲げ応力、たわみ、屋根材固定部(タイトフレーム、吊り子、折板の緊結ボルト、断熱金具など)の強度を確認します。なお、強度の確認は、SSR2007(鋼板製屋根構法標準)に準拠した計算方法および試験データによることとし、メーカーおよび専門工事業者に対しその旨確認します。屋根の勾配は、原則として100分の3以上、100分の100(45°)以下とします。

屋根の流れ寸法は、目安として50m以下とします。50mを越える比較的規模の大きい屋根の場合は、はぜ締め方式または嵌合方式の折板を使用し、かつ、採用に当っては対熱伸縮性能等をメーカーに確認します。ルーフファン、トップライトまわり、および避雷針、アンテナ、メンテナンス用パイプ、設備架台などの折板貫通部および軒先が雁行する部分等は、雨仕舞のうえで問題を生じやすいので、保証と絡む金属屋根メーカーと事前に十分納まりを検討します。

軒樋は、原則として内箱樋としません。やむを得ず内箱樋とする場合は、流量計算上は谷樋として扱い、オーバーフローをつける。折板の断熱材は、要求される性能(断熱効果、結露防止、耐火性能など)の必要性を考慮し、剥離、劣化が生じ難く折板を腐食するおそれのないものを選定します。

2.タイトフレームの下地と溶接を確認する

下地幅・板厚・勾配と、溶接による断面欠損を確認します。

タイトフレーム取付用下地は、結露水が溜まらない形状とします。タイトフレーム取付下地材(母屋等)の幅は、タイトフレームの幅にタイトフレームの板厚の2倍を加えた寸法以上、板厚はタイトフレームの板厚以上とします。屋根の勾配が100分の3を越える場合は、タイトフレームが、折板と直角に取付くよう下地を調整します。タイトフレームの底部両側を隅肉溶接し、著しいアンダーカット(タイトフレームの幅 10%以上)を生じたタイトフレームは取り替えます。

溶接後スラグを除去し、溶接部およびその周辺は素地調整のうえ、鉄骨の工場さび止めと同種の錆止め塗料で補修します。

3.軒先・けらば・棟を補強し止水する

折板を変形させずに端部を保持し、雨水が入り込む隙間を残さないようにします。

折板軒先先端の下底に水切りのための尾垂れをつける。ただし、切り込みは不可。軒裏のあげ裏部分には原則断熱材は設けません。けらばは折板が変形しないように、つなぎ材を1,000 mm 間隔程度に設け、端部用タイトフレームで固定するか、変形防止材(幅50 mm、厚さ2.3 mm以上) を 1,000 mm 間隔程度で折板上底を3山以上つなぎ合わせて補強します。けらば包み板は、下地金物(端部用タイトフレームなど )に 1,000 mm 間隔程度に取付け、原則として折板の1 山目に重ね合わせます。

棟包み板を用いた納まりとするか、折板の一枚ものとします。ただし、スパン50m以上の場合は、熱膨張を考慮し、棟包み板を設けることが望ましいです。折板上底部からの雨水の浸入を防止するため、重ね方式の場合は棟包み板と上底部の間に定形シーリング材を挟み込みます。また、はぜ締め方式の場合は、はぜ面戸等を設けます。止面戸およびはぜ面戸と折板の取合い部分は、シリコーン系シーリング材で接着面の幅が15 mm以上となるように三角シールをします。

4.雨押えの高さと重ねを確認する

壁との取合いでは、立上がり、水返し、水勾配と折板の支持を連続させます。

雨押え平場部より胴縁までの高さは150 mm程度、立上り寸法は200 mm 程度とし、上端に水返しを設けます。雨押え平場部は、できる限り水勾配(5分の1~3分の1程度)をとる。水上部分の雨押え納まりは、棟包み板の納まりに準じます。最端部の折り返しは、けらば同様変形防止材を間隔 1000 mm 前後に設けて固定します。雨押えは原則として、折板の1山に重ね合わせます。多雪地で、すがもれを防止するため2山目まで重ね合せる場合は、下地補強材を用いてたわみを防止するとともに水勾配を確保します。

タイトフレームからはずれた箇所へのビス留めは裏の折板が逃げやすいので、ビスの長さに注意します。

5.付属部品の継手と締結部を確認する

重ね幅と締結間隔をそろえ、施工中の傷や切り粉によるもらい錆も防ぎます。

棟包み板、けらば包み板、雨押えなどの付属部品相互の継手は、重ね幅を60 mm以上とし、定形シーリング材または防水テープを挟み込み、径3 mm 以上の耐水リベットまたは、薄鉄板用パッキン付ドリルビス(細目ねじ)で間隔30~50 mm程度に締め付けます。板金笠木(t=0.5~0.8 程度)の継手は、下地金物の位置とし、定形シーリング材または防水テープを挟み込み、径3 mm以上の止水パッキン付ドリルビスで間隔 30~50 mm 程度に締め付けます。

雨押えのアルミリベットが破断した例があるので、ステンレス製リベットを用いることが強度上望ましいです。ボルト、ビスはステンレス製とすることが耐久性上望ましいです。また、雨がかり部分に使用するドリルビスには、防水座金、防水パッキンを用います。折板のボルト穴径は、ボルト径+0.5 mm以下とします。はぜの仮どめおよび締め付けは、緩み、締め過ぎが生じないように注意します。

施工中は折板に傷をつけないように注意します。また、切り粉によるもらい錆を防止するため、孔あけなどを行った都度清掃を確実に行います。塩害のおそれのある地域では、ボルト頭に防錆キャップを設けます。

6.樋の伸縮と排水能力を確認する

雨量と集水面積を確認し、落し口、エキスパンション、オーバーフローを一つの排水計画として整理します。

雨水が溜まる部分(落し口付近)には、板材の継手は設けません。軒樋は20m以内(塩ビ樋は10m以内)に、谷樋は15m以内に一箇所エキスパンションジョイントを設けます。エキスパンションジョイントの詳細はメーカーの仕様によります。落し口はエキスパンションジョイント間に必ず1か所以上設けます。樋の落し口の排水能力をチェックし、不足する場合は落し口の径を大きくするか、落し桝を設けるよう設計者に改善を申し入れます。

谷樋、軒樋の断面は降雨量と屋根面積から計算し決めるが、少なくとも掃除ができる程度広くします。樋の排水能力の確認に用いる降雨量は設計者または設計図書により確認します。指定のない場合は、 0.18m/h を基本とし、設計者の承認を得ます。谷樋等、樋上端からのオーバーフローが許されない樋には、樋内にオーバーフロー管を設けるか、2倍以上の排水能力を持たせる。

樋の材質はステンレス鋼板(t=0.8 mm)または耐酸被覆鋼板(谷樋用加工コイル:溶融亜鉛めっき鋼板(t=0.5 mm)を原板として、その両面に無機繊維と合成樹脂とを数層厚膜に被覆するか、合成樹脂のみを厚膜したもの)とします。谷樋の落し口と内樋のジョイントは、防水を確実にします。室内に縦樋を設ける場合、地中埋設排水管経路についても流量チェックを行います。下屋や大庇がある場合には開放とせず横樋などを設けて、単独で桝に排水します。

屋根と樋の計画上の数値
項目目安・条件
屋根勾配原則3/100以上、100/100(45°)以下
流れ寸法目安50 m以下。超える場合は工法・熱伸縮性能をメーカーに確認
軒樋の伸縮目地20 m以内。塩ビ樋は10 m以内
谷樋の伸縮目地15 m以内
指定がない場合の降雨量0.18 m/hを基本とし、設計者の承認を得る
オーバーフローが許されない樋オーバーフロー管、または2倍以上の排水能力を確保